『ソウル・キッチン』を観る。ギリシャ系の男がハンブルグで経営している店「ソウル・キッチン」を舞台にしたドラマで、放浪の料理人が登場したりするので一応はグルメ映画っぽいも展開もありつつ、しかしそんなものでは全くなくて、腰痛をかかえる主人公ジノスと彼を取り巻く面々の起こす騒動を軸に話はすすむ。世界の背骨が曲がってしまってからのいろいろが、腰痛の回復とともに復旧していくあたりが物語の仕掛けでコメディとしては水準作。冒頭、冷食を使った雑な調理もさることながら、それを普通に食う客というシークエンスに何故か面食らい、食事が燃料補給とかわらないというだけの場面にどうしてこれほどインパクトがあるのか考えている。
主人公のパートナーは上海に赴任してそこで中国人の恋人をつくることになるのだけれど、2009年にはそれが殊更に切実なエピソードだったのであり、そうした仕掛けはいろいろと仕込まれていて見かけ以上に奥行きはあるみたい。