トレジャーハンター・クミコ

『トレジャーハンター・クミコ』を観る。菊地凛子の演じるOLが東京でのくすんだ生活の挙句、『ファーゴ』の一場面で雪中に埋められた札束の入ったアタッシュケースを探してノースダコタへの旅をする話。無論、『ファーゴ』はフィクションなのでにわかには理解し難い筋書きなのだけれど、『ファーゴ』そのものも、この映画も、冒頭に「実話」である旨のキャプションがあるので、そもそも虚実の境界はあってないようなものである。日本人女性が凍死しているのを発見されたノースダコタでの話をもとにして、菊地凛子が演じるクミコの日本社会での追い込まれ方は鬱屈として鬼気迫っているので前半はホラー映画みたい。ビデオテープが絡まる場面など『リング』へのオマージュであっても不思議はない。
後半は正調のノーザンカントリーもの風になるのだけれど、恐らくは狙い通りであるはずの結末のつけ方は、意図は明確だとして、なぜこれをやりたかったのかがよくわからず不思議な後味となっている。

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