『ドント・ブリーズ』を観る。デトロイトで家屋侵入と窃盗を重ねる三人組が、故買屋の情報をもとに退役軍人の住む家に忍び込み、大金をせしめるはずが返り討ちにあうという映画。無論、侵入を試みる側は悪党ではあるけれど、酌むべき事情も描かれるし、荒事担当のキャラクターは早期に排除され、押し入った者たちが狩られる側となり次々と怒りを買って追い詰められていくのが見どころ。そうはいっても一軒家での応酬で88分を保たせる工夫はあって見応えがある。そういう設定なので状況は概ね暗いという難点はあるにして、画面はよく構成されていて、結末まで緊張は維持されており悪くない。
犯罪に手を染める側が主人公という構図にあって、動機となるのは今の生活から抜け出しカリフォルニアに移り住みたいという脱出願望なのだけれど、いわゆるラストベルトの現状を背景にして今さらさほど不自然でもないということにはサスペンスとは異なる次元でちょっと救いがない。