『ハクソー・リッジ』を観る。良心的兵役拒否者ながら志願従軍し衛生兵として多くの兵士を救ったデズモンド=T・ドスをモデルとした映画で、メル=ギブソンが『アポカリプト』以来の監督をつとめている。沖縄戦の激戦地である前田高地の戦いが後半の舞台であるからには、凄惨を極める戦闘の描写になっているけれど、火薬の量を称賛する種類の映画ではないのではないかという気がしなくはない。メル=ギブソン自身は映画の考証については拘らない流派とみえて、いろいろ不思議な印象があるのも困るのである。基本的にはオーソドックスなスタイルの作品なので、表出している文脈以上の奥行きはないみたい。それはともかく、サム=ワーシントンの大尉とヴィンス=ヴォーンの軍曹というキャスティングは絶妙というものではあるまいか。