パッセンジャー

『パッセンジャー』を観る。ジェニファー=ローレンスとクリス=プラットが片道120年の星間旅行の30年目に冷凍睡眠から目覚めてしまった男女を演じたSFで、ネタとして117分は持て余すのではないかと思っていたのだけれど、これが案外、よく出来たドラマになっていて飽きない。
開巻、何処とも知れぬ宇宙空間を舞台となる五千人収容のスペースシップ・アヴァロンが、完全オートパイロットで突進していく仕事師ぶりにまずシビれる。その直後、何故かコールドスリープから覚醒してしまったクリス=プラットが、もともとエンジニアであるという設定も活きているし、アンドロイドのバーテンダーだけが話し相手という宇宙船での孤独な生活は古き良きSFの薫り高く楽しめる。
何より、遅れて登場するジェニファー=ローレンスの美しさには目を見張るものがある。激情の表現も何回かあるけれど、どれも見事でなかなか素晴らしい女優ではないかと感心したのである。この人のおかげで映画の面白さは三割増くらいになっていて、お約束を外さない結末もいい。

薔薇