パードレはそこにいる

サンドローネ=ダツィエーリの『パードレはそこにいる』を読んでいる。もともとは続編の『死の天使 ギルティネ』を読みたかったのだけれど、何ごとも順序を大切にするほうである。ヨーロッパのエンターテイメント小説は奥深さを感じさせて少なくとも邦訳が出るような作品のレベルは総じて高いと思うのだけれど、本作もぐいぐい読ませるところがあるし、爆弾テロの瞬間、居合わせた人たちが物理的に損壊していく流れを数ページにわたって描写してみせたシーンは本邦なら小林泰三の境地でその筆力には慄く。数秒を無数のコマに割ってみせる技に、この作者の力量が窺えると思うのである。