『ピンクとグレー』を観る。NEWSの加藤シゲアキによるという原作は未読。映画化にあたっては独自の仕掛けが導入されており「幕開けから62分後の衝撃!!」というのが惹句にもなっていたようだけれど、実験的ではあっても映画として成立しているかは別で、普通なら120分で構築しようという物語世界をいったんご破算にしてやり直すのが得策なのかどうか。だがしかし、大仕掛けがなければ120分がもたないという判断だったとすればそれも腑に落ちて、なかなか悩ましいことになっている。幼馴染として育った3人の関係と自殺をめぐる真相の究明という部分だけでは、それこそ話にならないであろう。それだけに何回か出てくる「しょーもなっ」というセリフや劇中作への言及に、ある種の捨て鉢な印象を感じる気さえして、この映画が本当に作り手の作りたかったものなのか、ちょっと興味がある。