マスター・オブ・ゼロ

『マスター・オブ・ゼロ』を観る。シーズン1を観始めたら面白くてシーズン2の半ばまで、ずんずんと。尻上がりに調子を上げていくので、止めどきがわからないという幸せな体験で、ダイアログの洗練もさることながら、演出の尖り方もすごくて特に第2シーズンは大したものである。時空を自在に往還するし、唐突に映画の手法を持ち込んできたりするのでまず飽きることがない。
NYのライフスタイルを扱ったドラマは数多あるけれど、主人公がマイノリティである以上はロールモデルの呪縛からあらかじめ自由で、ストーリーは2010年代に語るべきであろう高みにあって目が離せない。今のアメリカが、トランプのアメリカであればなおのこと。このシリーズを観ているさなか、シャーロッツビルの事件が起きていて、大統領のコメントが社会を震撼させていればこそ、TVプログラムのなかの異議申し立てが一層、切実に映ったものである。