ミュージアム

『ミュージアム』を観る。大友啓史監督によるこれもコミックスの映像化で、原作は未読だけれどきっとこだわった仕上がりであるには違いない。例によって映像そのものには白々しいところがなくて、邦画のレベルを引き上げてきた大友監督の仕事には安心感がある。一方、シリアルキラーとこれを追う刑事を描いたストーリーそのものは90年代サスペンス小説風で、何もかもがステレオタイプなのでちょっとびっくりした。刑事は家庭を顧みず、猟奇殺人は決まって雨の日に起こり、事件がやがて刑事自身を取り込んでいくという展開には、ひどく懐かしい感じがしたものである。
結末のB級っぽさもいいけれど、カメラの向こうでは子供が日光によるアレルギー反応を感じ始めているという描写だとすれば、それはちょっと伝わらないのではあるまいか。