レッド・ドーン

『レッド・ドーン』を観る。アメリカ合衆国に北朝鮮が侵攻してくるという筋書きだけで、敬して遠ざけようという気になるのも止むなし。クリス=ヘイズワース主演でもあって、まぁ、そういうものだと思って観るわけだけれど、徹頭徹尾、ディストピアもののヤングアダルト小説のフォーマットを採用した脚本で、実はちょっと感心した。固有名詞を変換するだけで、違う世界の物語が無数に生産できるのではあるまいかというくらい構造と関係性は完成されており、実のところソフトで自動生成された脚本なのではあるまいか。問題は既視感しかないことだけれど、主人公の成長のためにヒーローは殪されなければならないというルールが機能しているのは好感がもてる。アメリカが侵略を受ける話であるにもかかわらず、全編が96分とコンパクトであることも美点といわなければならない。
そもそも『若き勇者』たちみたいな話だと思えば、もともとはそのリメイクらしいのだけれど、であれば侵攻するのは中国であるはずところ、妙に日和っているのが当世の事情を反映している。

春