『京都人の密かな愉しみ 桜散る』を観る。2015年から半年ほどの間隔をおいて続いてきたこのシリーズも、紆余曲折を経ての急転直下、物語的な結末に向けて突き進む。三八子と書いて「みやこ」という名の、220年続く老舗和菓子屋の若女将を主人公に、サンハチ、二十四節句に絡めて京都の四季を綴るという初期設定だけでこれは天才の仕事かと思って贔屓にしている。そんな話が最後は当人の色恋沙汰、しかも「立ち別れ いなばの山の みねにおふる まつとし聞かば 今帰り来む」という在原行平の出立の句も結局は迷い猫のまじないと団時朗の帰還にしか関わることなく、当の本人はあっさり京都を後にするという話の閉じ方では、いろいろ衝撃的といわざるを得ないのだけれど。まぁ、さはさりながら、王道というべき桜のエピソードに絡めてこれまでのいろいろに決着をつけようという点では破綻のない内容になっていて、そうは言っても楽しんだわけである。