彼女はパートタイムトラベラー

『彼女はパートタイムトラベラー』を観る。タイムマシンの同行者募集という広告を出した人物を取材しようと、身元を偽って近づいた雑誌社のインターンが、このちょっと風変わりな人物につきあって過ごすうち恋に落ちる。オーブリー=プラザが父親に残念な娘と言われる役回りで、少し白目がちなアブない目つきがちょっといい。ゾーイ=デシャネルの系統に属する個性だと思うのだけれど、好きである。
SFにもヒューマンドラマにも転ぶ可能性を秘めている筋書きだけれど、ミシェル=ゴンドリーかと思わせるファンタジックな展開もあり、しかし王道のラブロマンスであって、パートナーと共に赴くタイムトラベルとはつまり婚姻のメタファーであるかと思わせる結末が実によくできている。よくわからない邦題がついているけれど、してみると『SAFETY NOT GUARANTEED』という原題のほうに無論、含蓄がある。
ストーリーラインは実はハリウッドの恋愛ものの定番に沿っているところも上手くて、いくつかの脚本賞をとっているというのも宜なるかな。ひとつ間違えれば目も当てられない内容になっていたに違いないのだが、絶妙な間合いで結末につなげているところは立派で、監督のコリン=トレヴォロウと共に出世作となったようだけれど首肯ける。

庭