TBSオンデマンドにはプレミアム見放題というコースがあって、『逃げ恥』から始まり『コウノドリ』『空飛ぶ広報室』といろいろ楽しんでいるのだけれど、ムロツヨシが主演の『悪党たちは千里を走る』もあったので、これをみている。すっかり本邦のドラマにハマっていて、ちょっと楽しい。
原作は貫井徳郎の同名小説で、いつもとは作風も違ってちょっと伊坂幸太郎みたいな物語なのだけれど、テレビドラマはそこからもだいぶ設定を変えており、まず主人公からして詐欺師ではなく、制作会社に辞表を叩きつけるディレクターということになっているので、悪党というにはだいぶ無理がある。だけど、そのアツい感じがムロツヨシのキャラクターによくハマってちょっといい。だいぶ大きな設定変更なので消化が難しい部分もあるにして、かなりいい具合に再構成されているのではないか。各話は30分ものの連続10回で、シリーズの前半はほぼマンションの部屋を舞台にした密室劇という、深夜帯らしい構成とそれゆえの制約もありながら、この部分のテンションはなぜかそれなりに維持されていて感心する。脚本は新進の渡邉真子というひとで、その名前を記憶にとどめておこうと思ったことである。