戦慄の記録 インパール

この数年、NHKの番組といえばドラマを偏愛するばかりで、ドキュメンタリーについてはそもそも8月と12月に太平洋戦争を扱うことさえ避けているのではないかと疑っていたけれど、今年の終戦記念日にかけては昨日の『樺太地上戦』に続き『戦慄の記録 インパール』も気合の入った内容で、日本の戦争を駆動してきた総無責任体制を現在の問題として二重露出させる企図が明確なので好感がもてる。もちろん、腐ったリンゴばかりでない層の厚さがあるということであろう。
牟田口司令官の配下にいた斎藤少尉というひとの手になる記録を素材として、インパール作戦そのものを俯瞰しつつ白骨街道の惨状を語る構成になっているけれど、96歳で存命の当人が終わり近くに登場したのには衝撃を受けて思わず声が出る。その慟哭、その言葉は多くを語って一層、重い。