掟上今日子の備忘録

『空飛ぶ広報室』とは違って一気にという感じでもないのだけれど、テレビドラマの『掟上今日子の備忘録』をぼちぼち観ている。西尾維新の『忘却探偵』シリーズは未読。
もとは日テレの土曜9時枠での放送だったので、昔なら『金田一少年の事件簿』が映像化されていた枠だと思うけれど、そういえば似たような系統にある話とみえ、堤幸彦の一派が確立した流れがかれこれ20年くらい続いているのであればそれはそれですごい。
言ってしまえば解釈をマジックで太書きしたような、誤読を許さない演出が特徴だと思っていて、例えば画面にインポーズされた文字が状況を説明する手法は、この物語そのものにある意味でファンタジックな文脈を追加しているし、実写画面との意図的な混同が独特の面白みを加えていることも確かだけれど、その効果は痛し痒しというところで、受け手に読み解きを要求しないというシグナルの採用がストーリー全体を陳腐な説明に堕としていることに自覚的であってもよいのではあるまいか。
そうした過剰演出がかえって物語に対する興味の持続を阻害している気がしてならないのだけれど、シリーズ構成上は後半の方が面白くなってくる印象で辛抱が肝心。そして白髪メガネも似合うガッッキーはファンタジーの階梯でも違和感がなくて、だいたいこれだけでも観るべきなのである。