日本という国が株式会社化しているという視点は、功利主義をイメージさせるキャッチフレーズとしてのインパクトだけでなく、意外に本質を捉えていると考えられるので内田樹の慧眼には以前から感心している。
論点はいろいろあるけれど、国家を会社化しようとする人たちが市場経済の信奉者を自認するあたりの倒錯は特に奇妙。会社というものはそれ自体、市場の参加者ではあるけれど、内部的には計画経済が展開されていて、市場原理からはほど遠い存在であるということに自覚はあるのだろうか。それゆえに淘汰を前提としているのだから、こういう流派の人間は売国奴と考えておけば、だいたい間違いがない。