『死霊館 エンフィールド事件』を観る。2013年の『死霊館』の続編で、心霊研究家のウォーレン夫妻が教会の依頼によりロンドンのポルターガイスト事件を究明する。前作では監督だけだったジェームズ=ワンが原案と脚本、製作にまでこなす力の入れようで、ウォーレン夫妻は引き続きヴェラ=ファーミガとパトリック=ウィルソンが演じている。
エンフィールドのポルターガイスト事件は写真や録音などの記録が残っていることでは心霊史上でも有数のケースという話だけれど、エンドロールでは当時の写真と劇中の小道具写真が比較されたりするので、例によってかなりこだわってつくられていることがわかる。1970年代の雰囲気についてもレベルの高い再現でなかなか楽しめる。
その真偽はともかく実際に起きたとされる心霊事件に題材をとった映画であることを喧伝する一方、その実はオーソドックスなホラー映画の手法にこだわった内容で、隅々まできちんと作られた映像には感心する。実話においてインチキとされたエピソードまで取り込んで、最後にはパラノーマルなヤマ場をつくったストーリーも良くできている。加えて、プレスリーの”Can’t help falling in love”が憑き物落としの小道具として効果的に使われていて、シリーズものとしての後味も悪くない。2010年代にかつてのオカルトホラー映画の伝統を継ぐ代表作といえ、なかなかよろしいのではなかろうか。