そういえば『龍の歯医者』の後編もオンエアで観たのである。時間軸では日露戦争と現代くらいの時間をおいて、事件の取材者の視点が語られる冒頭の時空感はやはり趣味にあっていて、前編に引き続き導入のうまさに唸る。これと本編の関係性は希薄であり、ほとんど独立したエピソードになっているのは前編の海戦の話と同じなのだけれど、作品の世界観をぐいと拡げることに成功している。本編に採用されている黄泉がえりの神話類型が現代活劇風味の展開でほとんど霞んでいる一方、高高度を浮遊する龍の存在とあいまって立体的な効果を生んでいると思うのである。好き。