『浮世絵ヒーローズ』を観る。ゲームのキャラクターを浮世絵で表現しようというKickstarterのプロジェクトはWebニュースの記事で読んだ覚えがあったけれど、これが浮世絵風のイラストではなく、日本に住むカナダ人彫師の手によって実際に摺られたものだということは知らなかった。本作はイラストを手がけるジェド=ヘンリーとこれを彫るデービッド=ブルが、コラボレーションの経緯を語ったドキュメンタリーで、明治維新の結果起きた海外流出により国際化した浮世絵が、日本製のゲームに慣れ親しんだ年若いゲーマーと浮世絵そのものに打ち込んできたベテラン職人に受け継がれる変転を描いている。越前和紙の人間国宝にまで取材をしているけれど、何しろ外国製である以上は「日本スゴイ」系の気色悪い内容でもなく、職人が後世に残ることを意識して仕事をしている様子に居住まいを正す。「浮世絵ヒーローズ」というのはクラウドファンディングのプロジェクトの名前だけれど、現代の浮世絵職人を二重写しする仕掛けで興味深い。