マツコの知らないマンガ飯の世界から、もちろん『カルテット』を観る。今回もまたツルヤ、そして何故かカーリングの妄想があって、別府くんは「絶対」を繰り返す。家守さんの行間トークも期待通りで、2回目にしてフォーマットを確立した感がある。
脚本は「火照っている」という一般動詞に文脈を作りつつ、谷間事案では反復による笑いをとりつつ、しかしこれはいわば右手で観客の関心をひく手品師の動作で、左手では「人生のクライマックスを見逃した」「人生には後から気づいて間に合わないこともある」というスパイクを打ち込んできて重い。
そのセリフを物語で回収する王道の展開もキレイに構築されており、主人公たちにかかわる主旋律はあとに繋がっていくとして、対旋律たる九條結衣のストーリーにも奥行きがあり、『White Love』が大流行したその頃、高校生になろうかという歳だったと思うだけでなぜか泣ける。それにしても菊池亜希子の出番はこれまでなのだろうか。その朝、ベランダで食べたサッポロ一番が美味しかったのが私たちのクライマックスと語りつつ、しかし本当のそれは結婚式場から出ていく背中の一瞬の静止となる、二重露出の美しさは無類。
ワインの空き瓶の話からエンディングの『おとなの掟』が入ってくる流れもいろいろすごいし、相変わらずかっこいい。来週も楽しみというほかない。