『カルテット』を観る。いつの間にかバイトをクビになってしまった元バイトリーダーで元Vシネ俳優の家森さんの話。脅されても口を割らない侠気があって、怒っている別府さんのためにテラスの引き戸を開けてあげる優しさのある男だけれど、アジフライはウスターソースに決まっていて、その上、自分の考えに左右されすぎなので、まず「モテない」。
だが、そんなことはどうでもいいし、家森さんは今のままでいいのだ。いろいろ込み入った話はあるとして、高橋一生入魂の別れの場面で、左目から伝う涙の尊さよ。水飲み場で子の成長を実感する場面もまず切ない。
第4話の仕掛けは冒頭からのゴミ屋敷問題で、足の臭い美女の話も絡めつつ、今回もまた、きれいはきたなくて、きたないはきれい、というマクベス風の対立の面白さで物語を駆動して、デスノートとドラゴンボールまで対比させつつ、「愛しいは虚しい」というクライマックスに持ち込む語り口がやっぱりうまい。この場面ではベランダのゴミはなくなっているし、別府はひたすらカニを剥き続ける男だったことを想起させるし、素晴らしく手の込んだ構築になっている。
そして家森さんがいいひとじゃなくなってみせる場面では、半田と同じく、風邪をひいているところもよくて、またしてもいろいろ感心する。それにつけても有朱の怖さよ。