『エビデンス -第6地区-』を観る。よくわからないドキュメンタリーを撮影がてら、キャンプに出かけた男女4人が謎の咆哮に怯えるうち、恐ろしい状況に巻き込まれる。
この作品が作られた2011年には、ファウンドフッテージスタイルの映画も既に目新しくはなかったと思うけれど、かなりオーソドックスな感じのつくりで、撮影するしないを登場人物が始終、揉めることになるという初期型のジレンマを今さらやり直したりもしているのでちょっと鬱陶しい。もちろん映像のクオリティや話の筋道は二の次で、手持ちカメラによる画面は常に揺れ動き、何かの説明があるわけでもないし、基本的にはアイディアと雰囲気だけのシロモノといえ、ラスト30分の転調がポイントと言えるかも知れないけれど、感心するほど面白いというわけでもないみたい。何しろ、前半のグダグダとしたキャンプのあれこれは、ほぼ程度の低い口論が繋がれているだけなのでかなり辛い。78分の小品だけれど、あと30分短くても特に困ることはなかったに違いない。
邦題に入っている「第6地区」も意味不明で、いずれ『第9地区』の気分だけの引用だろうと思っていたら、セリフの中に「第6地区」という言葉が突然、出てきていて、しかしそのセリフ自体が勢いだけのものなので特に裏設定が読み取れるということもないみたい。ある意味ではこの後半の錯綜ぶりが見ものと言えなくもない。