『カルテット』の第8話を観る。もたいまさこ演じる巻鏡子が最後に母親としての役割を取り戻し「自分の人生を生きよ」というセリフで退場かという序盤から、しかし最後にそれが誰でもない女の人生であることが明らかになる驚愕の展開で、相変わらず気が抜けない。大倉孝二演じる刑事がまたいい。
「好きだってこと忘れるくらい、いつも好き」「好きだってことを忘れるくらいの好き」というちょっと染みるすずめのセリフが今回のハイライトだけれど、「わしにもくれ!」という元Vシネ俳優の仕事も際立っていて「片思いは一人で見る夢」という境地に分け入っていく心情にも説得力がある。今回のキーワードは夢。いつものことながら、正味45分とは思えない密度なのだけど、脚本と役者の高いレベルの相乗効果を演出が引き出しているのだから無理もない。