『逃げるは恥だが役に立つ』の最終巻が発売されたので、これを買い求めて読む。このマンガはドラマ開始とともに品薄となったタイミングで揃え始めたので今回もKindleの電子書籍で、しかし掲載誌『KISS』が出るたびに連載を読んでいたので、実を言ってほぼ既読の内容なのである。収穫は「後書き」の内容で、作者はみくりのことを小賢しいとは思っておらず、39話の「小賢しいと思ったことはない」という平匡のセリフはドラマの制作が決まってから、「小賢しい」がキーワードのように使われていたことへの応答だったというくだり。「自尊感情」と「小賢しさ」はドラマのキーワードであり、原作本のキャラクターの違いは歴然としているけれど、ドラマと原作が相互に影響を与えていたという成立過程の詳細が明かされたことにより、今後の『逃げ恥』研究はますます進展するに違いない。脚本の野木亜紀子の仕事が際立っていたのは、作者も改めて述べている通り。