CIA極秘分析マニュアル「HEAD」

早川書房から出版されたこの本の、まずタイトルにシビれるわけだけれど、確実に読者層を狭め、妙な偏見を与えていると思うのである。もちろん、元職員が公に書いたCIA査読付きの本が極秘の内容を含んでいるはずはなく、覗き趣味で読むようなものではなくて、言ってしまえば論理的思考の手法についての内容なので、述べているところは戦略系のコンサルタントが説明するそれと通底するものがある。これまでに発見されている不確実性への対処の方法には、それほどのバリエーションはないということであろう。とはいえ、育ちがCIAの筆者である以上、例題はリアルな国際情勢分析に言及するものが多くてなかなか楽しい。語り口は平易で、その論理は一貫しており、驚くような中身ではないにして、説明されるフレームワークがビジネス分析における要諦でもあることは違いない。