『ON AIR オンエア 脳内感染』を観る。オーソン=ウェルズの『The War of the Worlds』のラジオ放送がパニックを引き起こしたという「火星人襲来」のエピソードを連想させる雰囲気で、ラジオ放送のオンエア中、オンタリオの小さな町で起きた異変の一報を伝えるDJの目前にもやがて異常な事態が起き始めるというストーリーが進行し、ついには韻を踏むだけの意味なし言葉に実際的な効能が付与される局面が出来する。原作は未読だけれど、言語ネタの小説を映像化しようという冒険的な試みは、DJを演じたスティーヴン=マクハティのキャラの濃さにも助けられて、ある程度、成功しているのではあるまいか。ラジオドラマとしても制作されているらしいけれど、密室劇に合ったネタでもあって悪くない。低予算であることは間違いないけれど、邦題が予想させるほどダメなものでもないのである。