『SPOOKS』を観る。シーズン10まで放映されたテレビシリーズに連なる映画だけれど、もちろん単独でも十分楽しめる仕立てになっていて、CIAが籠絡しようとしているMI5内の裏切り者を炙り出すためにハリー=ピアースは善悪の境を躊躇なく越えていく。彼を追う若者としてキット=ハリントンが配されスパイアクションにもなっているし、展開も面白くて思わず見入る。ベテランによるイギリス版『24』の雰囲気もあるけれど、結末のカッコよさは実に英国っぽくて唸る。素晴らしい。
イギリスの対米追随を背景とした陰謀というのは『Page Eight』に始まる三部作でもテーマになっていたけれど、このあたりの屈託と緊張感はイギリス国内に広く共有されているものとみえて興味深い。同じ立場ともいえる日本に、そうした視点のフィクションがほとんどないというのがまた本邦の病の深さを示して、これも興味深い。