ぼくは明日、昨日のきみとデートする

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を観る。原作の小説は未読。福士蒼汰と小松菜奈によるロマンスで、パラレルワールドを仕掛けにしているらしいけれど理屈と説明は最小限なのでSF的な解明を求める向きには不満であるに違いない。特に男女間の情報の非対称性についてはちょっと納得がいかないという気がするけれど、吉田智子の脚本ではどちらかというと一期一会を際立たせるために設定が機能しているので、細かいことは言いっこなし。その前提では、特にこの時期の小松菜奈の可憐が際立って、ロマンスとしては上出来と言えるのではあるまいか。物語の類型としてはアルジャーノン効果というべき普遍的な哀しみが物語の仕掛けに組み込まれているのがミソで、京都を舞台としているだけでもかなりの補正があって画面の雰囲気も悪くない。