われらはレギオン

ハヤカワの近刊『われらはレギオン AI探査機集合体』を読んでいる。AI探査機が宇宙を旅するという小説は本邦にもわりあい最近に『みずは無間』があって、フォン・ノイマンの考えた自己増殖型の無人探査機というのはなるほどSF者の琴線に触れるところがある。ホーガンの『造物主の掟』では異星からの文明の到来を期待したものだけれど、こちらから出かけて行かなければならなそうだというのが21世紀の気分だとして。
SF大会で事故にあって死んだエンジニアが死後冷凍保存を経てAIとして甦るという展開もそうだけれど、『火星の人』のアンディ=ウィアーと同じく、いかにもSFマニアという著者の素養を感じさせる処女作で、どうやら三部作となるらしい書きぶりは既に堂々としており密度が高い。面白い。