『カメラを止めるな!』を観る。当地は典型的な地方都市なのでイオンシネマがあるとして、この作品が公開なったのは拡大公開を受けた先週末のことで、これまで本作に関わる評判も騒動も華麗にスルーしてきたのは既報の通り。『One Cut of the Dead』というサブタイトルがあるからには、わずかにゾンビ映画であろうという認識はあったのだけれど、いわゆるネタバレ回避をほぼ完遂した状態で結構、楽しむことができたのはめでたいというほかない。
SD画質というより、いきなり昭和な画面なのにはどうなることかと思ったけれど、あからさまに違和感を残しながら進行するので、目論見は早々に知れてあとは流れに身をまかせる感じ。エンドロールはそのままGoProの映像で、何ならFilmicProを使ったiPhone撮影でも驚かないし、低予算であることは間違いないけれど、役者の仕事には白々しいところがないので娯楽映画としては完成されている。中村義洋監督による伊坂幸太郎作品の映像化みたいな雰囲気さえあったけれど、考えてみると解明の手続きは似ている。唯一無二の作品というわけではないにして、実はパブリシティも地道に行われている気配はあり、思いがけぬ大ヒットというより、努力が実を結んだのであればやはりめでたい。
本筋には全く関係のないところで、実はいちばんインパクトがあったのはプロデューサーを演じた竹原芳子というひとの存在感で、もしかしたらこの作品のヒットによって一番、ブレイクするのではないかとすら思ったことである。