サバイバルファミリー

『サバイバルファミリー』を観る。太陽フレアの影響か突然、電気の使えなくなった世界で、都心での生活に見切りをつけた一家が自転車に乗って鹿児島の実家を目指す道中を描く矢口史靖監督の映画。小日向文世と深津絵里が夫婦で、泉澤祐希と葵わかながその子供というキャスティングにはそれほど意外性がなく、仕事中心の生活で有事にあっても正常化バイアスの強い父とこれに反発する娘といったステレオタイプな人間関係がサバイバルの過程で再構築されるという、よくある話になっている。それはそれでいいとして、電気文明の停止を扱った内容としてはかなり微温的なものにとどまっており、パニック映画として分類することも躊躇われるので、これはもとよりファミリー映画として構想されたものであろう。電気がダメなら機関車を走らせればいいじゃないと言わんばかりの展開もイマイチ。プリンを食べたつもりが卵豆腐だったという印象で、別に卵豆腐のせいではないにして腹が立つ。