ザ・ウォール

『ザ・ウォール』を観る。イラク戦争終結後のイラクでの偵察行動中、パイプラインの建設が行われている砂漠の真ん中で、二人組のアメリカ兵が謎の狙撃兵の襲撃に遭う。負傷したひとりは瓦礫となった壁ひとつを遮蔽として身を隠し、無線に割り込んできたスナイパーとの問答を繰り返しながら生き残る道を模索する。狙撃戦とはいえ、ほぼ一方的に標的となっている状況設定は『フォーン・ブース』の砂漠版というところで、結末にかけて敵の意図が明確になってくるあたりの雰囲気もよく似ている。戦闘ものとしての骨格は全くないのでドンパチを期待する向きにはそぐわないとして、状況そのものがイラクにおける消耗戦のアナロジーとなっているのもよく出来ているというべきで、密度の濃い90分となっており悪くない。