『シークレット・アイズ』を観る。ブエノスアイレスを舞台にしたアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』のハリウッドリメイクで、設定をロサンゼルスに移し、軍政の代わりに911後の司法機関の変質を背景においてあまり違和感のない翻案を実現している。キウェテル=イジョフォーの両脇をニコール=キッドマンとジュリア=ロバーツが固める布陣で、それぞれに見せ場をつくりながら密度の高い話になっている。監督と脚本は『ニュースの天才』のビリー=レイで仕事ぶりは堅実といえるのではあるまいか。
オリジナルの『瞳の奥の秘密』は25年前の事件を扱っていたけれど、こちらは13年前の設定になっており、911を扱っているという設定上の都合はあるにして、ラテンとの時間感覚の違いがみえるようで興味深い。そういうことだから結末のインパクトは単純にオリジナルの方が大きく、ウェルメイドなリメイクではあってもことの本質を捉えていないのではないかという気がしなくもない。