『ジェーン・ドウの解剖』を観る。『トロール・ハンター』のアンドレ=ウーヴレダル監督がノルウェーからハリウッドに進出して撮った映画で、タイトルの通り身元不明の女性の遺体を解剖しつつ進行する86分。R15+というレーティングも当然という死体の描写がたっぷりあって、病理の常識を超えた遺体の状況が不条理な恐ろしさを醸し出していく物語で、何しろこれを丁寧に描いていくので徹頭徹尾、薄気味悪い。法医学を題材にしているとはいえ『アンナチュラル』のような陽性の部分は薬にしたくたってないし、そもそもよくできたホラーなので怖いのである。いやはや。
検死に取り組む親子二人とジェーン=ドウというミニマルな構成で、緊張感を維持している脚本と演出の仕事は際立っていて、アンドレ=ウーヴレダルその人の才気には感じ入った。