『スリー・ビルボード』を観る。監督のマーティン=マクドナーはイギリスのひとみたいだけれど、アメリカ中西部のヒルピリーを扱った本作では脚本も書いて才気のあるところをみせている。娘を殺された母親と警察署長、暴力警官の三人を関わらせることになった三枚のビルボードという構築と、ホワイトトラッシュとまで言われるひとたちのやむにやまれぬ状況をオープンエンドで描いたストーリーがまずふるっており、そこにフランシス=マクドーマンドとウディ=ハレルソン、サム=ロックウェルという役者の仕事が加わって、なるほど高い評価を得ているのも不思議はない。登場人物の造形も単純ではないのだけれど、振れ幅を全く破綻なく演じており見応えがある。