ラ・ラ・ランド

『ラ・ラ・ランド』を観る。ライアン=ゴズリングもエマ=ストーンも好きで、デイミアン=チャゼル監督の傑出した仕事であることがわかっていてなお、これまで観ることなくきたのだけれど、冒頭、LAに向かう高速道路上の大渋滞を舞台にした長回しのミュージカルシーンから引き込まれる。成功を目指す人びとの長い列を端的に表現したこの場面に類する手際の良さは全編に見られ、色彩による表現とカメラワークのわかりやすさと相俟って、何しろ美しく、ほとんど誤読の余地のない娯楽作品に仕上がっており、楽しくて切ない。撮影自体もかなり優秀といえるのではあるまいか。
本業のジョン=レジェンドは当然として、ライアン=ゴズリングのピアノが堂に入ったものであるのには感心した。『セッション』のデイミアン=チャゼルが、ボディダブルによる演奏表現でよしとするはずもないとは思うけれど、それに応える俳優の仕事も立派なものだ。