三度目の殺人

『三度目の殺人』を観る。是枝裕和監督の脚本・監督であるからには一筋縄ではいかない事件映画だけれど、まず音響だけでも劇場で観るべき映画であることがわかる作品で見応えがある。役者の仕事もいいけれど、ディテールが呼応する話の力がいちばんの見どころではないか。時おりある極端に凝った構成の画面にも必然性と説得力があるので緊張感が途切れない。特に弁護士と被告人の共謀共同正犯が成立するクライマックスには「おう」となったけれど、しかしそれだけに最後の面会の場面は余分のような気がしなくもない。