内閣府の「国民生活に関する世論調査」で、現在の生活に満足しているという回答が過去最高を記録したとかいうニュースについて、無理もないことだけれど、実感に合わないという声がネットで散見され、慎重に標本の内訳をみる向きからは回答者が富裕な高齢者層に偏った「捏造」とまで言われているので、この数年での行政府への信頼低下はいよいよ統計情報への不信というかたちでも定着しつつある。経済統計への信任低下が経済危機につながったギリシャの航跡を辿っているという気がしなくもない。
それはともかく、平成元年には77.4%あった有効回答率が今回の平成30年調査では59.7%とあるので、同じ無作為抽出だとしても回収率の違いによる信頼度の低下は間違いなく存在し、回答への意欲の違いが属性の偏りを生んでいるのも事実とみえるので、「過去最高」を無批判に報じるNHKこそ報道機関としては確かに深刻な能力の欠如があって、政府広報の誹りを受けても仕方あるまい。