『哭声/コクソン』を観る。『チェイサー』のナ=ホンジン監督の作品なのでちょっとハードなサスペンスなのかとばかり思っていたら突然、ホラーに転じ終盤はジャンルを超越した叙事詩になるという按配で、こちらの安直さを軽々と超越して何かと凄みのある作品になっている。韓国の寒村に到来した黙示的な終末が、キリスト教に関連するあらゆるアイコンを配して語られながら、表面には悪魔的な事象しか現れず、しかし象徴と構造が救世主を指し示すことになるという恐ろしく込み入った話で、再読を要求する作品であることは間違いない。容易に誤読することになるのを考えると予備知識があった方がいい。
國村隼が出演していたことでも話題になったけれど、タイトルの『コクソン』は舞台となる地名にかかっている上に國村の音読みでもあり、内容が内容だけにそこまで考えていたとしても驚かない。