女神の見えざる手

『女神の見えざる手』を観る。ジェシカ=チャステインが銃規制強化法案の成立を画策するやり手のロビイストの役。単純な正義感を見せない複雑な役柄をこの人ならではの温度で演じて見応えがある。それ以上に、銃規制のロビイングというアメリカ社会にとっても重要な題材をシリアスな映画にして、同時にこれほどの娯楽性を持たせている手腕には唸る。時機を得た映画というのは時に世論を動かす力さえ持つものだが、脚本家のジョナサン=ペレラはストレートな主張をクライマックスに配してその意図を隠さない。だいたい、公聴会が文書と宣誓供述を拠りどころとして粛々と行われているシーンだけでも彼の国の民主主義の練度が羨ましくなるわけだが、どの国にもその階梯に応じた病があるというわけだ。インドネシアが大陸の一部であるかのようなセリフはGoofsとして、ちょっと苦味のあるラストもいい。