恋妻家宮本

『恋妻家宮本』を観る。阿部寛は三枚目もいける二枚目として本邦、屈指の役者となったけれど、本作でのキャラの立ち方は特に好ましく、正しい選択に惑いつつ何となく妻との心の距離がひらいてしまった五十男がとてもいい。この夫婦の関係性は非常に普遍的とみえて感心したのだけれど、原作は重松清らしくなるほどと思ったのである。天海祐希や菅野美穂といった女優陣の仕事ぶりも立派で、時空を超えた大団円となるエンディングは今どき珍しいくらいベタなつくりだけれど、ラブシーンの代わりに踊ってみせるのがアジア映画の作法であれば、よろしいのではないだろうか。遊川和彦の初監督作品ということらしいけれど仕事ぶりは堅実。