『新感染 ファイナル・エクスプレス』を観る。どういう経緯でこのような邦題になったのかには少し興味があるけれど、タイトルがどうあれ昨今のゾンビ映画としては出色の出来でなかなか楽しめる。ブラッド=ピットの『ワールド・ウォーZ』、本邦では『アイアムアヒーロー』を連想する高速移動型のゾンビではあるけれど、前者ほど舞台を広げることなく、後者ほど登場人物描写に注力することなく、釜山行きの広軌特急という閉鎖状況にアクションを凝縮し、自己中心的なステレオタイプキャラクターが改心して子供との絆を取り返すというシンプルな話を縦軸にして、朝鮮戦争における韓国軍の釜山潰走を想起させる展開は、パンデミックの絶望感をいや増してよくできている。ラストは釜山橋頭堡への到着であれば絶望の果てに幾ばくかの希望が残っているというのもうまい。