獣になれない私たち #9

『獣になれない私たち』の第9話を観る。松岡正剛によれば「障害性が物語のプロットをつくるはずなのに、その障害性そのものが作品の本質であるとすれば、その物語はつねに未完でなければならない」とボルヘスは言ったそうだけれど、その伝では「獣になれない私たち」の物語がもちろん型通りの完結を迎えるはずもないという予感をもたせつつ、残り一話。

そもそもこのボルヘスの言葉はカフカを評したものなのだけれど、場所というものに多重の意味を付しつつ語られてきたこのドラマも、ここにきて朱里はマンションを出、「5tap」が突如ドアを閉ざし、トリックスターたる呉羽は幽閉され、登場人物の関係性は質的な変化を迎えて、しかし混迷の度は深まる。晶のアパート問題の帰結が物語的な結末となるはずとはいえ、その行方には予想がつかない。次週、刮目して待て。