知ってるつもり 無知の科学

早川書房の近刊『知ってるつもり 無知の科学』を読む。いわゆる認知科学の本ではあるけれど、人間の思考が合理的なものではないばかりか個人の営為ですらないというこの内容は、事実に基づかない言説によって選挙結果までが左右される時節にあって尚更、腑に落ちる。「無知の知」が日常的な経験を踏まえた科学の言葉で語られるという体験は滅法、面白くて少し恐ろしいのだけれど、この先にあるのが悟りの境地というものではないかとも思えてページを繰る指が止まらない。