フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件を契機に、AR-15ライフルをスーパーで買うことができる状況への批判が高まっていて、NRAへの風当たりがにわかに増しているという点でこれまでとは少し違う展開が見えているけれど、これに対する銃規制反対派は容疑者の精神的な問題が看過されたことが問題の本質だという雑な主張を繰り返している。New York TimesのポッドキャストであるThe Dailyはなかなかよく出来た編集で、事件以来、容疑者の精神疾患に原因を帰そうとする演説が幾度となく繰り返されていることをモンタージュにより実証的に聴かせてくれるのだけれど、そのレポートはさらに踏み込んで、さして根拠もなく容疑者を精神疾患とすることの論理的帰結、つまり心神喪失による放免と、しかしその後もなお重火器を購入することが可能であるという制度上の瑕疵を挙げ、NRA擁護派の弁を論破している。
この論理性こそ本邦のジャーナリズムに求めて持ち合わせのないもので、政権がアカデミズムを忌避する理由でもあり、だとすれば最も必要なものなのではあるまいか。