政治というものはストックであり限られた資産を最大限有効に活用しなければならないというマックス=ブルックスの至言は時々、思い出して感心するのだけれど、その政治的資産の強度というのはある程度、風雪に応じるというのもまた真実とみえ、支配の長さ自体がもたらす頑強性があればこそ長期政権を打倒するのは困難を伴う。
よく読まずにハンコを押したから責任はありませんとばかりの答弁を大臣が行い、そもそも首相が言うことの辻褄が合わないこの状況は、現政権どころか、戦後の数十年をかけて蓄積してきた自民党そのものの政治的資産の蕩尽であって、対抗勢力にとってはこの往生際の汚さそのものが得点になるとは思うけれど、だがしかし、この国にとっては災厄というほかない。