『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を観る。スティーブン=キングの小説を原作とした2017年の映画化で、1990年にもテレビドラマ化されているけれど、映像面でも30年近い月日による進捗はあり、CGとは分かっていても生理的に恐ろしい場面がかなり念入りに描かれているので、まずホラーとして見応えがある。そして特に少年期にトラウマを残すような災厄と虐待が日常の脇に顔を出すキング独特の語り口が、あの長大な原作の匂いそのままにかなり要領よく脚本化されていて、この作家の原作映画としてはだいぶよく出来ているのではないだろうか。無論のこと本作のモンスターはペニーワイズなのだけれど、『IT』と抽象化され、デリーの街を覆う悪と抑圧を背景に感じることができるつくりになっていると思うのである。
本作そのものは少年期編であり、『Chapter 2』に続くことが最後に明かされるけれど、そりゃもちろんその通りと、こちらも納得せざるを得ない。そのキャストがこのほど発表になって、ビバリーにはジェシカ=チャステインが配されており、それなりに重厚なつくりとなりそうなので期待がもてる。