『LOGAN/ローガン』を観る。ヒュー=ジャックマンの出世作となったウルヴァリンの物語は初期の頃から観ていたけれど、結局、時空をも超越することになっては正直どの世界線にいるのかすら定かではなく、そうなるとあまり熱心に鑑賞しようという気にもならない。
とはいえ、異色作というべき『ウルヴァリン:SAMURAI』のジェームズ=マンゴールド監督が脚本にも入ってウルヴァリンの最期を描こうという本作はそれ自体、マーベルの映画としては異端ともいえる物語構造をもつ出色のロードムービーとなっている。メキシコからカナダへ向かう逃亡の旅、アメリカはもはや約束の地ではなく、争いを避けつつ足早に通り過ぎる場所となっている近未来、ローガンが幾たびも目を覚ますたび、事態はいよいよ抜き差しならぬ方向に向かい、ついに迎える決戦の時にすらかつての無双はその影もない陰惨な話とはいえ、避けられぬ老いのなかでの復権の物語でもあってその奥行きは深い。