『いだてん』は前畑秀子が金メダルをとったベルリンオリンピックでの顚末を経て、第三帝国型の国威掲揚大会へ舵を切る東京オリンピック準備の迷走と支那事変の勃発まで。例によって脚本と演出は冴えており、ナチス式敬礼を擬するかたちで立ちすくむ田畑政治のシーンには唸る。韋駄天の言葉が出てこない嘉納治五郎とか、細かいシーンにも多重の文脈が走っているのが凄いのだけれど、2020を前にして、戦前の軍靴の響きと現在をシンクロさせている全体の構造とそれを実現する構想力には感服する他ない。
『いだてん』は前畑秀子が金メダルをとったベルリンオリンピックでの顚末を経て、第三帝国型の国威掲揚大会へ舵を切る東京オリンピック準備の迷走と支那事変の勃発まで。例によって脚本と演出は冴えており、ナチス式敬礼を擬するかたちで立ちすくむ田畑政治のシーンには唸る。韋駄天の言葉が出てこない嘉納治五郎とか、細かいシーンにも多重の文脈が走っているのが凄いのだけれど、2020を前にして、戦前の軍靴の響きと現在をシンクロさせている全体の構造とそれを実現する構想力には感服する他ない。