クロストーク

コニー・ウィリスの『クロストーク』を1年遅れで読んでいる。近未来であり、現代ものでもある本作は『航路』と同じように同時代の風俗が織り込まれているのだけれど、カルチャーの引用が巧妙なのは作者が70を過ぎても変わらず、あの名作の雰囲気が再現されていて嬉しくなってしまう。劇中のドタバタがディスコミュニケーション状況そのものを示す手法も同様で、すでに自家薬籠中のものといえるこのスラップスティック感がどうしてこんなに面白いのか、考えてみれば不思議なのだけれど、まず名人芸というものであろう。